星空の下の消えた航路

夜風がひそやかに砂丘を撫でる中、遥は星明かりの羅針盤を手に冒険の準備を整えていた。地図には、誰も辿ったことのない未知の航路が記されていると噂されていた。

彼女は砂漠を抜け、静かな湖にたどり着くと、突然羅針盤が光りだし、方向を示し始めた。しかし、その光は普通の北ではなく、ふいに星空の一点を指していた。

最初は戸惑いながらも、遥はその導きに従って歩みを進める。

深夜、砂丘の静けさの中、奇妙な幻影が彼女を包み込んだ。見知らぬ声が遠くでささやき、風に混ざって星の歌が聞こえた。これは単なる地図の謎ではなく、自分自身の記憶と向き合う旅だったと気づく。

翌朝、遥は航路の終わりに見たものを語れなかった。光は消え、星の歌も風に溶けていた。だが彼女の胸には鮮明な新しい世界が広がっていた。

この冒険は答えを求めるものではなく、見えないものを感じる瞬間の連続だった。遥は途方もない宇宙の小さな一片をその胸に刻み、静かに歩みを進めた。旅が終わらなくても、探求は続くのだ。