忘れられた薬の瓶

仕事帰りの電車の中で、麻衣子はバッグの中から古い薬の瓶を見つけた。それは数年前に使い始めたが、途中で飲むのをやめてしまった薬の瓶だった。

彼女は健康のために通っていたクリニックで処方された薬だったが、忙しさやストレスで続けることができなかった。久しぶりにその瓶を手に取り、彼女は自分の体と向き合う気持ちがふと生まれた。

しかし、薬の飲み忘れだけが問題ではなかった。麻衣子は疲れやすさを無視し、食事も不規則で運動もほとんどしていなかった。薬を再び飲むことを考えつつも、体調そのものをどう管理すればよいか分からずに迷った。

家に帰って、彼女はノートを取り出し、半年間の体調の変化や食べた物、睡眠の時間を書き始めた。無理なく続けられる小さな目標を設定し、薬以外の生活の面に焦点を当てることにした。

その数週間後、麻衣子は体の軽さと心の落ち着きを少しずつ感じ始めた。薬なしでも体調を整えられる方法を見つけたことに驚きと喜びを感じた。

薬の瓶は今でも棚の隅にあるが、もう昔のような依存はない。彼女にとって大切なのは、健康を一つの数字や薬の力だけでなく、自分の生活全体で考えることだった。