思いがけない健康診断の午後

陽太は長い間、健康診断というものを避けていた。健康だと思っていたし、忙しい毎日を言い訳にしていたからだ。

しかし、会社からの強い勧めもあって、ついに診断センターへ足を運んだ。受付では笑顔のスタッフが迎えてくれ、いくつかの問診票を書きながら、陽太は少し緊張していた。

診察が始まると、医師は陽太の体重や血圧を測り、さまざまな質問をしてきた。そこで陽太はあることに気づく。普段の生活の中でどれだけ不規則な食事や運動不足を重ねていたかが、はっきりわかったのだ。

しかし、最も意外だったのは、血液検査の結果だった。中性脂肪の値がかなり高く、医師は注意を促した。「このまま放置すると将来、重大な問題になる恐れがあります。生活習慣の改善をしっかりと考えてください。」

陽太は一瞬、落ち込んだが、同時に心の中で何かが動いた。逃げ続けていた現実を見ることの大切さを感じたのだ。

家に帰る道すがら、陽太はふと思い出した。子供の頃、祖母が毎朝欠かさず作ってくれた野菜スープや散歩の時間。忙しい生活の中でも、そんな小さな習慣こそが健康の鍵だったと。

その日から、陽太は無理なく続けられる生活の工夫を始めた。急がず、完璧ではなくても、毎日少しずつ変わることを目指して。健康診断は彼にとって、避けていた過去と向き合うきっかけとなったのだった。