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駅の近くに小さなカレー屋があった。名前は「まぼろしカレー」。いつもは通らない道だったが、その日はなぜか足が向いた。
店に入ると、香辛料の香りが強く、少し不思議な感じがした。メニューを見ると、普通のカレーに「まぼろしスパイス」という特別な調味料が入っているらしい。興味本位でそれを頼んだ。
最初の一口で、普通のカレーとは違う複雑な味が口に広がった。辛さの後にほんのり甘さがあり、さらに微かな酸味も感じられた。食べ進めるうちに、その味にどんどん引き込まれていった。
店主が「そう感じてくれて嬉しいです」と笑いながら話しかけてきた。彼は独自に調合したスパイスの秘密は明かさなかったが、「料理は心の魔法なんだ」とだけ言った。
食事を終え店を出たとき、まだその味の余韻が口の中に残っていた。後日友人に話すと、「そんなカレー聞いたことない」と言われ、ますますその店への興味が深まった。
しかし、次に行ってみても、店はなくなっていた。まるで一夜にして消えた幻のようだった。味も店も記憶にだけ残り、不思議な体験として心の中に留まった。今でも時々、あのカレーの味をもう一度夢に見ることがある。
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