忙しい朝の小さな間違い

毎朝忙しく家を出る直前、彩花は急いで身支度を整えていた。その日は大切な会議があり、時間に遅れたくなかった。

しかし、出かけようとした瞬間、彼女は手にしたコーヒーカップがいつもと違うことに気がついた。よく見ると、コーヒーを入れたカップは夫のもので、彼女のは別の棚にあった。

飲みかけのカップを急いで置き、正しいカップを取ろうとしたその時、上から小さな物音がした。まさかと思いながら振り返ると、猫のミントがカップの近くで遊んでいた紙切れをくわえていた。

彩花は思わず笑ってしまった。猫のおかげで朝のバタバタに少しだけ和むことができたのだ。家を飛び出す前の短い時間だったが、焦りの中に小さな幸せを見つけられたようだった。

結局、その日は少し遅刻したものの、会議は上手くいった。帰宅後、彩花はミントに感謝しながら、落ち着いて過ごせる時間の大切さを改めて感じていた。忙しい毎日の中で、些細な出来事が心の支えになることを知ったのだった。